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PMSの治療で使われる薬 には何があるの?その特徴や注意点とは?

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更新日

 
執筆者:座波朝香(助産師、看護師)
 
医療監修:株式会社とらうべ
 
 
PMS(月経前症候群)の治療で使われる薬 には、病院で処方されるもの、薬局で購入できる市販薬、漢方薬などがあります。症状が多様なため、どの薬が適切かは人によって異なります。自分に合う薬を選ぶためには、治療薬の種類や特徴、注意点を知っておく事が重要です。この記事では、PMSの概要を説明し、続いてPMS(月経前症候群)の治療で使われる薬について詳しく説明します。
 
 

PMS(月経前症候群)とは?

 
PMS(月経前症候群)は、premenstrual Syndromeの略です。生理のおおよそ2週間前に生じる精神的、肉体的な不調のことで、様々な症状があります。PMSの原因は明確にはなっていませんが、セロトニンの低下、プロゲステロンの影響、ビタミン・ミネラルの不足が深く関連していると考えられています。また、環境の変化、緊張、ストレス、疲労の蓄積、几帳面で細かい性格、バランスの悪い食生活、飲酒・喫煙等の習慣は、PMSの症状を酷くする要因として考えられています。
 
 
 

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PMS(月経前症候群)の治療で使われる薬:そもそもどんな症状が現れる?

まずはPMS(月経前症候群)の症状からご説明します。人によって感じる症状は多様で、程度にも個人差があります。以下は、月経前症候群で自覚されることが多い症状です。あてはまるものはないかチェックしてみましょう。
 

  • □イライラ
  •  

  • □のぼせ
  •  

  • □下腹部膨満感
  •  
     

  • □下腹部痛
  •  

  • □頭重感
  •  

  • □怒りっぽくなる
  •  

  • □頭痛
  •  

  • □乳房痛
  •  

  • □落ち着きがない
  •  

  • □憂うつ

 
これらの症状は、月経の3~10日くらい前から出始め、月経がはじまると改善するのが特徴です。また、とくに精神的な症状が強いものを「PMDD(月経前不快気分障害)」といいます。PMDDの場合、生理前に家庭、職場での活動に支障がでるほどの、精神的な不調(攻撃的、暴力的になる、抑うつ感、自殺願望等)に陥ります。PMSの方の約5%程度がPMDD症状を抱えていると推測されています。 似た症状を示すため対策を講ずるにあたって区別をする事が重要な病気としてうつ病がありますが、PMDDによる精神的不調は、生理周期と関連している…つまり、生理開始後1~2日後に治まる点がうつ病との顕著な相違点です。
PMS(月経前症候群)の治療に取り組みたいと考えるとき、症状だけでPMS(月経前症候群)と自己判断をせず、医師の診断の下で治療に取り組むことが必要です。
 
 

PMS(月経前症候群)の治療で使われる薬 :病院で処方される薬の効き方と注意点

 
 

(1)鎮痛薬

生理痛や、頭痛、歯痛などのときに使う鎮痛薬と変わりありません。
 
○ 効き方:
痛みの伝達物質であるプロスタグランジンの合成を阻害することで、痛みを軽減します。プロスタグランジンは、生理や行動に作用し体の働きを調節する物質である生理活性物質の一つです。プロスタグランジンには幾つかの種類がありますが、その中には子宮を収縮させる、痛みを強める等の作用をもつものがあります。
 
○ 注意点:
痛み止めは身近な薬でもあり、副作用もないと思われがちです。しかし、胃腸を痛めたりするような副作用もあります。毎日飲んでも、痛みのコントロールがうまくいかないような場合には、鎮痛剤だけではなく、ほかの治療薬と組み合わせる必要があるでしょう。
 
 

(2)ホルモン剤

PMS(月経前症候群)治療では、一般的に「ピル」と呼んでいる薬を使います。避妊目的での薬としては有名ですが、月経困難症のための治療薬(保険適応)として使える薬剤はPMS(月経前症候群)やPMDDにも効果があることが分かってきました。
おもな女性ホルモンである「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」からなる薬で、「EP配合剤」と呼ぶこともあります。子宮体がんリスクを高める等副作用の可能性のあるエストロゲンの量がより低量に抑えられたものを使います。エストロゲンは子宮内膜を厚くし妊娠の準備をするのに必要なホルモンです。またプロゲステロンは、基礎体温を上げ、子宮内膜の厚さを維持し、乳腺を発達させる等の働きをします。
 
○ 効き方:
排卵を抑制し、子宮の内側(内膜)が厚くなるのを抑えます。そうすることで、月経血の量が減り、子宮内膜での痛みが発生するのを抑えます。
通常は、排卵の前に脳から「LH」(黄体形成ホルモン)というホルモンが分泌され排卵を促進します。PMS(月経前症候群)の場合、ホルモン剤で少量の女性ホルモンを取ることで、すでに排卵後であるかのようなホルモンバランスになります。
そのため、治療中は再度排卵することはなく、卵巣が休んでいる状態になるのです。使用する薬剤の種類によっては、身体の不調だけではなく、精神的な症状も抑えられるといわれていますので、医師に確認をしましょう。
 
○ 注意点:
EP配合剤の副作用として血栓症があります。血栓症は命に関わるような重大なものですが、発症する頻度は少ないといわれています。
たばこを吸う人は、副作用が出やすくなり危険なので、EP配合剤を用いるのであれば禁煙すべきでしょう。血栓症には重症になる前に前兆となる症状があります。例えば、頭痛、腹痛、めまい、息切れ、手足の痛みなどですが、このような症状があれば内服を中止して受診をします。
 
 

(3)利尿剤

むくみが強いときに使います。月経前に体重が増えてしまうほど全身がむくむ人もいます。
 
○ 効き方:
尿が良く出るようにする薬です。そうすることで、身体に滞っている余計な水分を尿として排泄し、むくみを改善します。
 
○ 注意点:
尿の量が増えるため、夜に飲んでしまうと夜間トイレに通うことになり、よく眠れなくなってしまいます。そのため、日中に飲むようにします。むくみは、月経前症候群に特有の症状ではなく、利尿剤も、高血圧の治療などに使われることがあります。
 
月経前症候群に使われる利尿剤は、作用がマイルドなものですが、副作用として血圧が下がることがありますので注意が必要です。
持病がありほかの薬を服用している場合は、飲み合わせには注意が必要です。必ず医師と相談して安全に使用するようにしましょう。
 
 

(4)抗うつ薬・精神安定剤

精神的な症状に使う薬というと、あまりなじみがなく敬遠する人もいるでしょう。依存性が怖いと思っている方もいるかもしれません。しかし最近では、PMDDのように落ち込みなど、精神的な症状が強い場合の治療として普及してきています。
とくに、抗うつ薬の「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」は第一選択薬(最初に使われる薬)として認識されてきています。副作用が少なく、効果もあるとされています。
 
○ 効き方:
PMS(月経前症候群)は、脳内の伝達物質である「セロトニン」と関係があることがわかってきています。いきいきと前向きに活動するために必要な物質で、うつ病の症状に関わる物質として知られてきました。SSRIは、セロトニンを活性化することで、落ち込みなどの精神的な症状を和らげます。基本的には月経前の症状が出る時期だけに内服します。
 
○ 注意点:
精神的な症状は、放っておくと月経前だけでなく慢性化してしまう傾向にあると言われています。そのため、数回の月経周期だけ、治療するよりも、症状が治まってからでも、ある程度継続した方が再発は少ないと考えられています。「もう大丈夫」と思っても、自己判断で中断せずに、きちんと医師と相談して中断か継続服用かを決定しましょう。

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PMS(月経前症候群)の治療で使われる薬 :市販薬の効能と注意点

 
 

■チェストベリー(商品名:プレフェミン)

チェストツリー(中央アジア、地中海地方原産の低木)という木の実であるチェストベリーを製剤化した市販薬です。日本では、医療機関で処方される医薬品として使われた前例がありません。
チェストベリーは日本では聞きなれない薬ですが、海外では生理痛や月経前の不調に対して昔から伝統療法として使われているものです。とくに月経前の乳房痛、頭痛、イライラなどに効果があるとされています。
 
 
○ 効き方:
チェストベリーは、脳の「ドーパミンD2受容体」を刺激することで、プロラクチンというホルモンを抑えることがわかっています。プロラクチンは通常、母乳の分泌を促すために授乳期に活躍するホルモンです。月経前にプロラクチンの分泌を抑えることで、ホルモンバランスの乱れを改善し、さまざまな症状を軽減する可能性が考えられています。
 
○ 注意点:
チェストベリーはホルモン値に影響する可能性があり、乳癌等ホルモン値に留意が必要な状態である女性は摂取をすべきではありません。ドーパミン関連薬を服用している場合もチェストベリー摂取は控える事が必要です。また、チェストベリーの効果は、充分な科学的裏付けを得ているわけではありません。そのため、使用にあたっては、他の補完的療法と同様、受診をしている医師に事前に相談をするようにしましょう。症状が改善しない場合には医療機関を受診し、処方薬での治療を検討すると良いでしょう。
 
 

個人輸入は? 市販薬との違いやリスク

処方箋がなくても手に入る薬をすべて「市販薬」と勘違いしている人もいるようです。日本で販売が認められている市販薬は、成分、製造方法や販売方法の安全性が確認されているものです。
 
一方で、いわゆる「ピル」など一部の薬では、輸入品を販売していることがあります。日本で手に入るものと同じ成分だとしても、安全性には懸念があります。
基本的に医療用医薬品は、医師の診察を受けて自分の身体に適切なものが処方されます。とくにPMS(月経前症候群)は、症状も人により様々なため治療の内容も個人差があります。そのため、治療をおこなった場合、効果はどうなのか、副作用はないのかなど、医療機関で相談をしながら、治療を進めていく事が重要です。
 
 

PMS(月経前症候群)の治療で使われる薬:漢方薬の効能と注意点

頭痛だけ、むくみだけ、というように、特定の症状だけであれば対症療法でも良いですが、PMS(月経前症候群)は、複数の症状が現れやすく対症療法とは異なるアプローチが必要な場合があります。漢方の基本的な考え方は、「気・血・水」という特徴的な性質で全身の状態を把握し、これらがバランスをくずすと、さまざまな症状として身体に現れるというものですが、異なるアプローチが求められるケースでは、漢方薬が有効と考えられる場合があります。漢方薬は、病院で処方してもらう場合や、漢方専門薬局、薬局などで手に入れることが可能です。
 
○ 効き方:
加味逍遥散(かみしょうようさん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、五苓散(ごれいさん)などがよく使われます。気、血、水で足りない物を補ったり、滞っているものを巡らせたりなど、生薬(しょうやく)の作用による効果を企図しています。 生薬とは天然にある薬効をもつ鉱物や動植物を余り加工せずに、そのまま薬として用いたものです。
 
○ 注意点:
日本の医療機関では、症状に合わせて、効果的とされている漢方が処方されるのが一般的です。一方、漢方専門の診察をしてオーダーメードの処方ができる医療機関もあります。いずれにしても、症状の改善がみられない場合には、きちんと医療機関と相談しながら治療をすすめていく必要があるでしょう。
 
 

PMS(月経前症候群)の治療で使われる薬:まとめ

 

  • ・頭痛やイライラ、下腹部痛、さまざまな症状が、月経前の3~10日から現れ、月経が始まると軽減していくのがPMS(月経前症候群)の症状。精神的な症状が強いものはPMDDという。
  •  

  • ・病院では、鎮痛剤(痛み)、利尿剤(むくみ)、ホルモン剤(心身の症状)、抗うつ薬(精神的な症状)、漢方薬(多彩な症状)などが処方される。
  •  

  • ・市販薬には、チェストベリーという成分を使った薬がある。乳房の痛みの緩和などに効果的とされている。
  •  

  • ・PMS(月経前症候群)の症状は人それぞれ異なるので、治療に取り組むときには、自分の症状を正しく把握し、医師と状況を共有しながら自分に合った治療を見つけていく必要がある。

 
 
<執筆者プロフィール>
座波 朝香(ざは あさか)
助産師・保健師・看護師。大手病院産婦人科勤務を経て、株式会社とらうべ社員。育児相談や妊婦・産婦指導に精通
 
 
<監修者プロフィール>
株式会社とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 
 

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